編集グループ〈SURE〉

四方田犬彦
『志願兵の肖像──映画にみる皇民化運動期の朝鮮と戦後日本』

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日本の植民地統治下で、朝鮮映画は戦場に向かう「志願兵」たちをどのように描いたか?
戦後の日本映画は、朝鮮人志願兵の面影をどこに残したか?

2023年5月上旬刊行

定価2,640円(本体2,400円+税)

四六判・並製、176ページ
発行・発売 編集グループSURE

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四方田犬彦『志願兵の肖像──映画にみる皇民化運動期の朝鮮と戦後日本』 刊行のごあいさつ

日本統治時代(1910-45年)の朝鮮では、サイレントからトーキーへと、多くの映画作品が製作されました。しかし、これらは、のちの時代に、日韓双方の社会から「負の遺産」「暗黒期」の作品とみなされたまま、今日まで十分な調査・研究がなされずに来ています。  四方田犬彦さんは、当時の朝鮮映画に長く着目してきた、数少ない映画研究者の1人です。日本で映画を研究する者にとって、植民地支配下に置かれた時代の朝鮮映画の解明は「責務」でもあると、四方田さんは述べています。  本書『志願兵の肖像──映画にみる皇民化運動期の朝鮮と戦後日本』では、とくに日中戦争(1937-45年)下、「志願兵」制度に応募していく朝鮮人青年たちの描かれ方に注目しながら、四方田さんの論考が進みます。これを通して、当時の「皇民化」運動が、朝鮮の青年にとって、外在的な官製キャンペーンから内発的な行動へと深化させられていく、切実な過程でもあったことがうかがえます。  また、戦後の日本映画が、こうした朝鮮人「志願兵」の面影をどこにとどめて、新しい時代の表現に向かってきたのかということも、もう一つの問いとされています。  本書は、読みやすい講義形式によるもので、聞き手は作家・黒川創らがつとめます。  いまだ例のない、異色の映画史論です。21世紀の世界が、混迷を深める今こそ、隣人との相互理解に向かう一助として、ゆかりの読者のみなさまにご一読をお願いしたく存じます。

2023年 皐月

編集グループSURE(代表・北沢街子)


四方田犬彦さん 1953年生まれ。映画史家、評論家。著書に『アジアのなかの日本映画』『日本のマラーノ文学』『大島渚と日本』『李香蘭と原節子』『戒厳』『パゾリーニ』など多数。

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