『これからの日本で生きる経験』
藤原辰史
私たちは、21世紀中盤を生きながら、
どういう経験をしていくのか?
未来をより良く生きるには、これに目を向けることが手がかりになる。
全体主義の社会は、
未来にも
あるかもしれない。
過去の人類の経験は、
これからの難題の
解き口ともなるだろう。
子ども食堂は、現在、全国で6000超。
「よその子」たちといっしょに食べるにぎわいが、
世代を越えた地域のつながりも開いていく。
2023年2月中旬刊行
定価2,640円(本体2,400円+税)
四六判・並製、224ページ(予定)
発行・発売 編集グループSURE
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藤原辰史『これからの日本で生きる経験』 刊行のごあいさつ
藤原辰史さんは、1976年生まれ、明朗なお人柄の農業史の研究者です。「食」という、現実の暮らしのなかで誰もが分かちもつ営みを主題に、活発な研究活動を続けておられます。
現在、地球上には、約80億人の人間が暮らし、そのうち、およそ1割の人口が飢餓にさらされているそうです。日本の社会でも、子どもの7人に1人が貧困状態に置かれていることを統計が示しています。しかも、「平和のため」と称する戦争が、世界のあちこちで続きます。
どうやら、もう、私たちの暮らしに、「国」をあてにはできないのかも──。 現在、日本の各地で、自発的に6000を超える「子ども食堂」が営まれているのだそうです。私たち庶民が、自分たちでつながりを作って、いっしょにごはんを食べるほうが、よっぽど楽しいし、信頼がおける! そういう実感が、いよいよ増してきているようにも思えます。
こんな日本社会で、私たちは、21世紀中盤を生きながら、どういう経験をしていくことになるのか? それに向けての気構えを語り合っていけるような本を、作っておきたいと考えました。
本書『これからの日本で生きる経験』は、藤原さんによる2部構成のセミナーとなっています。第1部は藤原さんの著書『ナチスのキッチン』を、第2部は『縁食論』を入り口にして、それぞれの講義が始まります。つまり、20世紀の全体主義国家で経験された事柄を手がかりに、これから未来の共存と相互扶助をどのように築いていけるか、という方向へと、セミナーは展開していきます。
司会・進行は、作家・黒川創がつとめました。
これから迎える21世紀中盤に向け、本書をひとつの問題提起といたしたく存じます。若い世代にも、また、中高年を迎えつつある世代にも、ご一読をいただいて、新しい意見交換の手立てとできればうれしいかぎりです。
年明け、2023年2月中旬の刊行となりますが、予約によるご支援をたまわれますよう、まことに勝手ながらお願いを申し上げます。
2022年 霜月
編集グループSURE(代表・北沢街子)
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