2021年9月刊行
新刊のご案内
稲宮康人
大震災に始まる風景──東北の10年を撮り続けて、思うこと
2021年9月上旬刊行
定価2,860円(本体2,600円+税)
A5判・並製、224ページ
発行・発売 編集グループSURE
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稲宮康人『大震災に始まる風景──東北の10年を撮り続けて、思うこと』 刊行のごあいさつ
写真家の稲宮康人さんは、2011年3月11日の東日本大震災から、現在に至るまでの10年間、岩手・宮城・福島の被災地に通い続けて、その風景を撮影している人です。
稲宮さんは、4×5という大型カメラを用いて、現地の景観をていねいに撮っていきます。すると、ここには、さまざまな時間が流れているのがわかります。 たとえば、一見すると、ごく普通の住宅地で、前庭に1台の乗用車がとめられている写真。ただし、よく見ると、クルマのボンネットの隙間からは、蔓草が伸び出て、タイヤの空気も抜けている。そこから、長いあいだ、人が暮らせずにきた町かどの風景なのだとわかる、というように。大震災から数年のあいだ、おおぜいの人が亡くなった場所には、手作りの慰霊台などが設けられているのをよく見かけたといいます。さらに復興工事が進むと、そうした場所も消えていく。
津波に襲われ、荒涼とした廃墟となった広がりに、かさ上げ、高台移転、防潮堤の工事などが大がかりに行なわれ、その風景の上にも、やがて静けさが訪れます。
「復興」とは、何でしょうか? 私たちは、いまだに確かな答えを得られていません。それでも、破壊されつくした土地に、家並みが再建されて、夕刻、そこにともしびが灯ると、日常の当たり前の光景が戻ってきたということに、胸は打たれます。ただ、原発事故がおそった土地を覆う放射性物質も、まだ消えてはいないのです。
本書は、稲宮さんが撮り続けたなかから百数十枚の写真と、それらをめぐる作家・黒川創らとの対話によって構成されています。ここにある風景は、私たちが21世紀の入口で経験した歴史、その1つひとつの場面です。そして、どんな未来にむかうのか、そのことも問いかけてきています。稲宮さんの思索は、早急な結論を求めることなく、深い流れをなしていきます。まだこれからも続く長い旅。これを皆さまとごいっしょしたく思います。
2021年 神無月
編集グループSURE(代表・北沢街子)
著者略歴
稲宮康人(いなみや やすと)
1975年生まれ。中央大学文学部史学科卒業。日本写真芸術専門学校卒業。 高速道路をテーマにした写真展「『くに』のかたち HIGHWAY LANDSCAPES OF JAPAN」(2007)で第9回三木淳賞受賞。 著書に、『「大東亜共栄圏」をめぐる旅──海外神社を撮る』(編集グループSURE)、『「神国」の残影──海外神社跡地写真記録』(国書刊行会)などクレジットカード/銀行振込/コンビニ決済/あと払い(ペイディ)/PayPal/キャリア決済/楽天ペイ/PayPay残高 がご利用になれます
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